脊髄小脳変性症の治療

脊髄小脳変性症の治療

脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とした神経変性疾患の総称で、ここにはいろいろ異なる多くの疾患が含まれています。その原因、症状、治療法とは?

脊髄小脳変性症の治療

初めに言っておきますが、脊髄小脳変性症の療法については、まだ完全なものはありません。根本的な治療法、つまり、病気の進行を止めたり、治してしまう治療法が残念ながら現時点ではないということです。

 

現時点での運動失調に対する治療としては、酒石酸プロチレリン(TRH製剤:ヒルトニン)、タルチレリン水和物(TRH誘導体:セレジスト)が、脊髄小脳変性症の運動失調の治療薬として認可されています。どちらも二重盲検比較試験で運動失調に対して有用性が確認されていますが、TSH分泌反応が低下する恐れもあるので、甲状腺ホルモン値の確認をしなければなりません。

 

酒石酸プロチレリンは筋肉内注射(0.5~2.0mg)、静脈内注射(生理食塩水で5~10mlに希釈)します。1日1回で14日間行ない、これ以後14日間休薬して1クールです。基本的に10日間以上投与すれば効果が現われるとされています。

 

その他で効果が期待されているのが、プレガバリン、ガバペンチン、リルゾールなどです。自律神経超節薬の代表としては、ジヒドロエルゴタミン(起立性低血圧の対症療法)などが使われます。鎮痙薬としては筋弛緩薬などが用いられることもあります。

 

リハビリでは、重りの入っている靴をはく、ふくらはぎに重りをつけて歩くような重量負荷が行われ、運動失調の進行をできるだけ遅らせるようにします。また、足を弾性包帯で巻くことで、歩行障害、起立性低血圧を予防する方法もあります。