脊髄小脳変性症の原因と特性
脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とした神経変性疾患の総称で、ここにはいろいろ異なる多くの疾患が含まれています。その原因、症状、治療法とは?
脊髄小脳変性症の発症確率は人口10万人に4~5人程度とされ、日本では2000年時点で2万人弱の患者がいるとされています。ちなみに日本では遺伝性が30%、非遺伝性が70%となっていますが、遺伝性のSCAは大部分が優性遺伝で、この点は欧米と異なっています。
発症は主に中年以降に多いのですが、若年期に発症する場合もあります。その特性は非常にゆっくりと症状が進行していくということで、10年、20年という長い単位でじわじわ進行することが多くなっています。進行速度は個人差もあります。
さて、脊髄小脳変性症の発症原因ですが、遺伝性のものは、最近になって原因となる遺伝子が次々と発見され、それぞれの疾患と特徴についても解明しつつあります。
常染色体優性遺伝で最も多いのは、3つの塩基(シトシン・アデニン・グアニン)が繰り返されるCAGリピートの異常伸長だと判明しています。正常ならCAGリピートは30以下ですが、この病気になると50〜100に増加します。CAGリピートの数が多いと若いうちでも発症して症状も重くなってしまうようです。
孤発性の多系統萎縮症に関しては、神経細胞内に異常な封入体があることが分かっており、それはたんぱく質の一種であることが判明しています。ただし、具体的な原因ということになるとこれは完全にわかってはおらず、まだ解明には相当な時間がかかりそうです。