脊髄小脳変性症の診断はどのようにするの?

脊髄小脳変性症の診断はどのようにするの?

脊髄小脳変性症とは、運動失調を主症状とした神経変性疾患の総称で、ここにはいろいろ異なる多くの疾患が含まれています。その原因、症状、治療法とは?

脊髄小脳変性症の診断はどのようにするの?

脊髄小脳変性症の診断についてです。まずは問診です。病気がいつ頃、どんな症状で出現してきたか。その後どうなっていったか、他の症状も伴っているかなどを聞かれます。また、今までにかかったことのある病気のこと、家族に同様な症状の人がいないかなども問診対象です。

 

いわゆる失調症状というのは主に歩行のふらつき、めまい、酔ったようなしゃべり方などが挙げられますが、こうした症状は脊髄小脳変性症だけのものではありません。これらは、小脳の梗塞、出血、ビタミンE欠乏、小脳の腫瘍など、他のいろいろな病気でも出現してきます。従って、まずは脊髄小脳変性症なのかどうかをはっきりさせなければなりません。

 

人によっては、脊髄小脳変性症なのにまったく失調症状が現われずにパーキンソン病と同じような症状が出現してくる場合もあるのです。

 

問診の次に、内科的、神経内科的な詳しく診察となります。更には、考えられる病気の鑑別のために、種々の検査を行うことになります。具体的には、血液、尿、心電図、胸や頭のレントゲン検査、脳波、随液検査、CT検査、MRI検査などで、これらはそれぞれ必要に応じて行なわれ確定診断します。

 

また、脊髄小脳変性症で遺伝性が疑われる場合は遺伝子検査が行われることがあります。遺伝子診断というのは、倫理委員会で承認されたガイドラインに沿って行われます。原則は、病気を発症した患者に、遺伝子検査の意義と方法、行うことによる利益、不利益等を理解してもらったうえで文書に同意の署名をもらってから行います。

 

具体的には、一般の採血と同じで、患者から末梢静脈血を約10ml採血し、血液から白血球を分離、遺伝情報が含まれるDNAの抽出、DNAを用いて病気の原因遺伝子の領域を分子生物学的方法で解析していきます。その結果は、患者、特殊な場合には代理人に伝えられ、第三者に伝えることはありません。